FXで勝ちたい──そう思ったとき、多くの人がまず「どこでエントリーするか?」に注目します。
チャートの形、インジケーターのサイン、ローソク足の動き…確かに、エントリーポイントは重要です。
しかし、エントリーがどれほど完璧でも、どこで手仕舞うか(=決済)を決めていなければ勝ち続けることはできません。
むしろ、勝ちトレーダーたちは「損失の許容幅」から逆算してエントリーを選び、リスクリワード比1:2以上の“構造”をベースにトレードを組み立てているのです。
この記事では、初心者でも再現可能なエントリーポイントの見つけ方に加え、
やればやるほど資金が増える「期待値トレードの思考法」まで丁寧に解説します。
感覚や運に頼らず、数字とルールで勝ち続けるトレードの土台を、一緒に築いていきましょう。
第1章|エントリーポイントだけでは勝てない理由
FX初心者の多くは、「どこで入るか」ばかりに目を向けてしまいます。エントリーポイントさえ正確に掴めれば、あとは勝手に利益が伸びていく──そんな幻想を抱いてしまうのです。
実際に、SNSやYouTubeでも“勝てるエントリーポイント”が頻繁に話題になります。移動平均線のクロス、ローソク足のパターン、ブレイクアウトなど、手法はいくらでもあります。しかし、現実はこうです。
エントリーがどれだけ完璧でも、その後どう手仕舞うかで結果は180度変わる。
あなたがエントリーした瞬間、市場は何も保証してくれません。ローソク足は上にも下にも揺れ動き、あなたの感情を試してきます。含み益に一喜一憂し、含み損に怯え、ルールを破って損切りを遅らせたり、利確を焦ったりしてしまう──これは誰しもが通る道です。
そして、多くの人が見落としているのが「損失の設計」です。
トレードで勝つというのは、単に「利益を出すこと」ではなく、損失をどうコントロールするかというゲームなのです。
エントリーよりも大切なのは「負け方の設計」
たとえば、あなたが「このチャート形状なら上に伸びるはず」と思ってロングエントリーしたとしましょう。しかし、相場が逆行しても、どこまで逆行したら手仕舞うかを決めていなければ、あなたのトレードは運任せになってしまいます。
- 損切りができない
- 予想が外れたことを認められない
- 含み損がどんどん膨らむ
これが、資金を溶かしていく典型的なパターンです。
勝ち組トレーダーの共通点は「先に負け方を決めている」
勝てるトレーダーは、エントリー前に「このトレードでいくらまで負けるか」を決めています。
その基準が「リスクリワード比」です。
リスクリワード比とは、簡単に言えば「リスク(損失)とリワード(利益)の比率」です。
- リスクリワード 1:1 → 勝率50%以上で利益が出る
- リスクリワード 1:2 → 勝率33%以上で利益が出る
- リスクリワード 1:3 → 勝率25%以上で利益が出る
このように、リスクリワード比を基準にしてトレードの損益構造を整えれば、連敗してもトータルで勝てる仕組みができあがります。
だからこそ、エントリーポイントよりも「損失設計」を学ぶ必要がある
相場はあなたの都合で動いてくれません。どれだけ良いタイミングで入ったとしても、決済が甘ければすべてが水の泡です。
「どこで入るか」ではなく、「どう負けるか」を先に考える。
この視点を持つだけで、あなたのトレードは安定し始めます。
そして次章では、その視点をどうチャートに落とし込み、実際のエントリーに活かしていくかをお伝えします。
第2章|理想的なエントリーポイントとは?
「どう負けるか」を先に決めたうえで、次に考えるべきは「どこで入るか」です。
つまり、「損失を許容できる範囲に収まる位置から、狙ったリワードが十分に見込める場所でエントリーする」ということ。
このように“リスクリワード比の物差し”を持ってチャートを見れば、無駄なエントリーが自然と減り、本当に「仕掛ける価値のあるポイント」だけに絞り込めるようになります。
✅ 例:移動平均線(MA)を使ったエントリールール
以下の5分足チャートは、2025年7月10日15:25頃のドル円(USD/JPY)です。
シンプルなエントリールールを1つ設定してみましょう。

📌 エントリールール:
- 移動平均線(MA:20)をローソク足が明確に上抜けた
- 次のローソク足の始値でロングエントリー
- エントリー前に、損切りと利確の目安をチャートに描いておく(リスクリワード比をチェック)
📌 実際の数値例:
- エントリー:145.879
- 利確目標:146.287(+40.8pips)
- 損切り目安:145.679(−20.0pips)
- リスクリワード比:1:2.04
✅ なぜこのエントリーが「理想的」と言えるのか?
このトレードが優れているのは、「損失を限定しながら、倍の利益を狙える構造」ができている点です。
相場に完璧なタイミングなど存在しません。ですが、入る前に負け方と勝ち方が定義できている状態こそが、理想のエントリーポイントなのです。
多くのトレーダーは、上がりそう・下がりそうという「感覚」で入ります。しかし、それでは損失を限定することも、期待値を計算することもできません。
🎯 エントリーの条件は「勝ちやすい場所」に立つこと
MAを突き抜ける場面は、短期的な流れが転換しやすい局面です。
特に、下落から横ばい、そして上昇に切り替わるような「切り返し」の場面では、リスクリワード1:2〜3のポイントがチャート上に現れやすくなります。
- 価格がMAの下から上へ抜けた → 上昇初動のサイン
- 直近高値までの距離がある → 利益幅を確保しやすい
- 安値は明確 → 損切り位置が設定しやすい
このように、「リスクリワード比が取れる構造があるか?」を確認してからエントリーする習慣を持ちましょう。
❗ 覚えておくべき重要な視点
「エントリーポイント」とは、単に価格の位置を意味するものではなく、
それは、“リスクとリワードの天秤があなたに傾いている場所”である。
つまり、「勝率が高い場所」ではなく、「損小利大を実現しやすい場所」を選ぶべきなのです。
次章では、いよいよリスクリワード比の“設計方法”について詳しくお伝えしていきます。
第3章|勝てるトレーダーは「利益」より「損失」を先に決めている
トレードは「当てるゲーム」ではありません。
むしろ、外れることを前提にして資金を守りながら、利益のチャンスだけを拾い上げていくゲームです。
だからこそ、勝っているトレーダーほど「どこで損切りするか?」という“負け方”の設計に時間を使っています。
この章では、エントリーよりも先に「損失を決める」ことの重要性を、実践的に解説します。
📉 なぜ損失の設計が重要なのか?
多くのトレーダーは、「いくら勝てるか?」という視点でトレードを始めます。
しかし、実際には「いくらまでなら負けても良いか?」を決めておかないと、相場の波に飲まれ、含み損が増えても何もできずに茫然と見ているだけ…という状況に陥ります。
相場において、損切りを決めていない状態とは、「無防備な状態で戦場に立つ兵士」と同じです。
自分を守る盾がないまま、勝とうとしても、それは無謀な希望に過ぎません。
📏 損失は「狙う利益幅」から逆算して決める
損切り幅を決める方法はいくつかありますが、最もシンプルで機能するのが「リスクリワード比からの逆算」です。
たとえば──
- 狙う利益幅:40pips
- リスクリワード比:1:2を目標
- → 許容損失幅は 20pips
つまり、「40pips狙うなら、20pipsまでの損失を許容してエントリーしよう」と事前に決めておくわけです。
この設計をエントリー前に行うことで、
・損切りの場所も自信を持って置ける
・含み損でも冷静さを保てる
・勝ち負けを“構造”で捉えられる
というメリットが生まれます。
📊 リスクリワードを整えれば勝率が低くても勝てる
この視点に立つと、「勝率が低くても資金が増える」というFXの本質に気づくことができます。
以下は、リスクリワード別の“必要勝率”の例です。
リスクリワード比 | 必要勝率 |
---|---|
1:1 | 50% |
1:2 | 33% |
1:3 | 25% |
つまり、10回トレードして7回負けても、1:3の構造なら資金は増えます。
- 3勝 × +30pips = +90pips
- 7敗 × -10pips = -70pips
- → トータル +20pips(勝率30%でも利益)
このように、“リスクリワードの設計”があなたのトレードに数学的な優位性をもたらします。
💡 損切り=敗北ではない
損切りに対して「失敗」や「負け」というイメージを持っている人は多いですが、それは完全な誤解です。
「ルール通りの損切り」は、次の利益につながる“コスト”であり、“学習材料”です。
損失を先に定義し、それを守り切ること。
それこそが、プロトレーダーに共通する「唯一の約束」です。
✅ まとめ:トレードに必要なのは「覚悟の深さ」
あなたが本気で勝ち続けたいなら、まずは“負け方”を極めてください。
損失を受け入れる準備ができたとき、初めて「期待値」に支えられたトレードが始まります。
次章では、このリスクリワードを軸に「1:2で勝ち続ける決済戦略」をより具体的に掘り下げていきます。
再現性ある決済の型を学び、感情に振り回されずに利益を積み重ねる方法をお伝えします。
第4章|リスクリワード比1:2を軸にした決済戦略
FXにおける“勝ち組と負け組の分岐点”は、決してエントリーポイントの良し悪しではありません。
本当に明暗を分けるのは、どこで利益を確定させるかという「決済戦略」です。
そしてその戦略において、最も再現性が高く、誰でも今すぐ取り入れられるものが──
✅ リスクリワード比1:2をベースにすることです。
この章では、「なぜ1:2が合理的なのか?」「どう設計すればいいのか?」を、実際のトレード事例とともに解説していきます。
🎯 まず決済ラインを“先に決める”という逆算思考
多くの人はエントリー後に「どこまで伸びるか?」をチャートを見ながら考えます。
しかし、これは感情に左右されやすい判断になりがちです。
それよりも先に考えるべきは、
- 「自分はこのトレードでいくらリスクを取るのか?」
- 「そのリスクを2倍にして届きそうな価格帯はどこか?」
このように、“利益幅を損失幅の2倍”で設計し、チャートにあらかじめ描いておくことが、リスクリワード比1:2の戦略の核心です。
✅ 実例:USD/JPY 5分足(2025年7月10日15:25)

📌 エントリーポイント:
- 価格:145.879
- MA(20)を上抜け確定 → 次のローソク足始値でロング
📌 損切りラインの設計:
- エントリーから−20pips(=145.679)
📌 利確ラインの設計(1:2):
- エントリーから+40pips(=146.279)
📌 結果:
- 実際の価格は146.287まで上昇し、1:2のリスクリワード比を達成
- スプレッド考慮後も+38.3pipsの利幅を獲得
💡 1:2という設計がもたらす心理的・数学的な安心
なぜ「1:2」が理想的なスタートラインか?
その理由は以下のとおりです。
▶ 心理的なメリット:
- 多少の連敗でも「構造上、取り返せる」と理解しているため焦らない
- 含み益が伸びたときに早利食いしなくなる
- 逆行しても「ルール通りの損失」と割り切れる
▶ 数学的なメリット:
- 勝率33.3%以上でプラスになる構造
- 同じロット数で繰り返せば、勝率よりも期待値で勝てる
✍ トレード前にやるべき3ステップ(テンプレ化可能)
- 利確目標を設定する
→ 現在価格+狙う利益(例:+40pips) - 損切り幅を決める
→ 狙う利益 ÷ 2(例:40 ÷ 2 = 20pips) - チャートにラインを引いて可視化
→ 水平線を2本:利確ライン・損切りライン
📌 ポイントは「エントリー前にすべてを設計しておくこと」
あとは機械的にエントリー&決済を繰り返すだけ。
🔄 トレードの結果ではなく「構造」で評価する
たとえそのトレードが損切りになったとしても、
1:2のリスクリワード比で設計できていたなら、それは“良いトレード”です。
なぜなら、そのトレードを10回、50回、100回と繰り返すことで初めて期待値の力が発揮されるからです。
✅ リスクリワード1:2を型にするメリットまとめ
- 無駄なエントリーが減る(損切り位置が自然に遠すぎる場所は排除できる)
- 含み益で利確を焦らなくなる
- 毎回のトレードが“資金管理の一部”になる
- 勝率が低くても安定して資金が増える構造を持てる
次章では、さらにこのリスクリワード戦略をベースに、「継続するほど勝ちやすくなるトレード構造」をどう日常に落とし込むか?についてお伝えします。
第5章|あなたのトレードを「やればやるほど勝てる仕組み」に変える方法
どれほど優れたエントリーポイントを見つけられても、どれほど高いリスクリワード比を設計できても、それを1回のトレードだけで終わらせてしまえば意味がありません。
FXで利益を積み上げるには、「良いトレードの再現性を高めて、数をこなすこと」。
つまり、“期待値のある行動を繰り返す習慣”を身につけることがすべてです。
🎯 「勝ちやすい構造」を習慣化する3つの原則
✅ 原則1:すべてのトレードを「設計」してから始める
感覚ではなく、ルールに基づいて以下を明確にしておくこと。
- どこでエントリーするか(チャート上の条件)
- どこで損切りするか(=リスク)
- どこで利確するか(=リワード)
📌 これら3点をエントリー前に書き出しておけば、トレード中に迷いがなくなります。
✅ 原則2:1:2のトレードだけをひたすら繰り返す
初心者が勝てない最大の理由は、「トレードの質が毎回バラバラ」なことです。
だからこそ、同じ“型”で何十回と検証・実行できる形を持つことが重要です。
特に、リスクリワード1:2は期待値が高く、勝率33%以上で資金が増える構造になっているため、
“トータルで勝つ”ことに意識をシフトできます。
✅ 原則3:1回ごとの結果ではなく、累積で判断する
トレードにおいては、「短期の勝ち負け」ではなく「長期のパターン」こそが命です。
- 勝率40%でも、10回中4回勝てればいい
- 1勝=+40pips、1敗=-20pipsで設計すれば
- → 4勝6敗でもトータル+40pips
📌 このように、負けても前に進める設計が、継続を支えるメンタル的土台になります。
📒 トレードノートを“検証の武器”に変える
淡々とリスクリワード1:2の設計を繰り返していく中で、ぜひ記録してほしいのが「トレードノート」です。
書くべき項目は以下の通り。
項目 | 内容例 |
---|---|
通貨ペア | USD/JPY |
時間足 | 5分足 |
エントリー根拠 | MA上抜け+前回高値付近 |
RR比設計 | 損失20pips:利益40pips |
実際の損益 | +38.3pips |
感情の動き | 含み益で利確したくなったが我慢した |
このような記録を続ければ、自分にとって最も再現性の高い型が浮き彫りになります。
📌 やればやるほど勝てる人になるための思考転換
- ❌「勝てるかどうか」→ ✅「構造に従えたかどうか」
- ❌「今回は勝ったからOK」→ ✅「ルールを守れたからOK」
- ❌「負けたら悔しい」→ ✅「次の優位性あるトレードへ繋げよう」
FXは勝った・負けたではなく、
「設計通りにやれたか?」だけが評価基準です。
✅ 継続がすべてを変える
“明確なルールと検証意識”を持ったトレーダーが、この構造を継続できれば、
トレードは運ゲーではなく、“数学に支えられた自己管理のゲーム”になります。
リスクリワード1:2でルールを守り続けた先に、「やればやるほど勝てる世界」があります。
次章(最終章)では、こうして積み上がるトレードがなぜ少数派にしかできないのか?
そして、勝ち続けるために必要な「期待値」という考え方を深掘りしてお伝えします。
最終章|勝てるトレーダーは「期待値」で動いている
FXで長く勝ち続けているトレーダーに共通するキーワードがあります。
それが──
✅ 期待値(Expected Value)です。
エントリーポイントでもなく、勝率でもなく、「期待値」という視点を持ってトレードしているかどうか──これが、“短期の勝ち負け”から抜け出して“トータルで資金を増やし続けられるか”を分ける決定的な違いになります。
🎲 期待値とは、トレードにおける“未来の平均値”
期待値は数学的にはこう表されます。
期待値 = (勝率 × 平均利益)−(負け率 × 平均損失)
たとえば──
- 勝率:40%(=10回中4回勝つ)
- 平均利益:+40pips
- 負け率:60%
- 平均損失:−20pips
この場合の期待値は…
0.4 × 40 − 0.6 × 20 = +16 − 12 = +4pips
つまり、1回のトレードあたり平均+4pipsの“価値”があるということです。
このトレードを100回繰り返せば、理論上は+400pipsの利益になる構造です。
📌 期待値トレードがもたらす3つの革命
✅ 1:勝率に振り回されなくなる
勝率60%、70%でないと不安…という考えは、もう不要です。
リスクリワード比が高ければ、勝率が30〜40%でも資金は増える。これが期待値思考の基本です。
✅ 2:損切りが怖くなくなる
損切りは“失敗”ではなく、期待値を実現するためのコストだと理解できます。
むしろ、損切りがないトレードは「次の利益を生むための土台」が崩れてしまう。
✅ 3:結果よりプロセスを重視できる
「勝ったか負けたか」ではなく、「設計通りのトレードができたか」で自分を評価できるようになります。
このメンタルが、継続力と自信を支えてくれます。
🎯 期待値を味方につけるルールとは?
- リスクリワード比:1:2〜1:3で設計
- ローソク足とMAによる明確なエントリールール
- 損切りを事前に定義した限定リスク
- トレードノートによる検証と改善
これらはすべて、期待値を最大化するための行動です。
だからこそ、この手法は「やればやるほど勝てる構造」になるのです。
💡 最後に:相場はランダム、でも行動は選べる
相場の値動きはコントロールできません。
しかし、どこで入り、どこで出て、どれくらいのリスクを取るかは、あなた自身が決めることができます。
期待値という視点は、トレードを「予想」ではなく「構造」に変えます。
相場の未来は読めなくても、“優位性ある行動”を積み重ねることは誰にでもできます。
そして、それこそが──
期待値で生きるトレーダーだけに開かれた「勝ち続ける世界」なのです。
✅ あなたに贈るひと言

「勝ち方」ではなく「構造」を選ぼう。
トレードに必要なのは天才的な分析力ではなく、優位性のある習慣です。