「銀(シルバー)」は、金(ゴールド)と比べて注目されにくい資産かもしれません。
しかし今、XAG/USD(銀/ドル)の相場に異変が起きています。
投機筋のポジションは半年ぶりの強気に傾き、COTレポートではネットロングが急増。
一方で、価格は週末になるたび不自然に下落し、市場では“価格操作”の疑惑すら広がっています。
さらに、2025年4月の米CPI発表、5月のFOMC会合を前に、銀市場の動きはドルやインフレ期待の先行指標としてFXトレーダーにとって極めて重要な意味を持ち始めています。
この記事では、銀市場のリアルなデータとXで発信される“プロの生の声”をもとに、
今後のドルの方向性と、FX戦略のヒントを読み解いていきます。
なぜ“銀”がFXトレーダーにとって重要なのか?
銀は貴金属の一種として「金の陰に隠れがち」ですが、実は金よりもドルとの相関性が強く、工業需要に左右される影響も大きい資産です。
特にXAG/USDの値動きは、
- インフレ期待
- 金利見通し
- 中国・EV需要の強弱
- ドルインデックスの方向感
など、FX市場にも通じる複数のファクターを含んでいます。
銀相場に異変があれば、それは為替市場の転換点を予兆する“サイン”である可能性も。
FXトレーダーにとって、金利やドルインデックスだけでなく、銀のポジションや価格動向をチェックする価値は十分にあるのです。
直近の銀相場:事実とデータ(2025年3月18日週)
米CFTCが発表した3月18日週のCOTレポートによると、銀に対する投機筋(Non-Commercial)のネットロングは+62,298枚に達し、2024年9月以来の高水準となりました。

分類 | ロング | ショート | ネット |
---|---|---|---|
投機筋 | 87,601 | 25,303 | +62,298 |
- ロング増:+7,636枚
- ショート増:+4,864枚(=ロングの勢いが優勢)
これは、市場のセンチメントが強気に傾いていることを示すと同時に、過熱感にも注意すべき局面であることを示唆しています。
また、商業筋(Commercial)は引き続きネットショートを維持しており、「価格上昇に備えたヘッジ」と見ることもできます。
海外トレーダーたちの“生の声”から見える市場の本音
X(旧Twitter)では、機関投資家・アナリストたちがリアルタイムでCOTに反応し、さまざまな意見を発信しています。
@ErikBregar
ネットロングは2024年9月以来の水準に上昇。ロングの増加がショートを上回った
👉 市場全体の強気傾向が鮮明に。
@CaptainGreen18
COT直前に銀価格を叩いてきた。“月曜までに平均線付近に戻したい”意図があるようだ
👉 COT発表前の価格操作疑惑。これはトレーダーの反発狙いのチャンスにもなり得る。
@SemperVigilant1
PSLV(Sprottの銀ETF)に対する短期的な空売りが意図的に価格を抑えているのでは?
👉 ETFの構造を使った需給操作への警戒感が高まっています。
銀のテクニカルポイントから見る市場の転換点

チャート上の注目ラインは以下の通りです。
節目 | 意味 |
---|---|
$33.00 | 現在の攻防ライン。維持できれば強気継続 |
$32.64 | 直近のサポート。これを割るとショート加速の可能性あり |
$33.30 / $33.57 | レジスタンスゾーン。ここを超えると買いの勢いが強まる |
特に「$33を挟んだ攻防」は、短期トレーダーにとって売買転換の境界線になります。
→ ここを上抜けるならリスクオン継続=円売り・ドル高期待
→ 割り込むなら、リスクオフ・銀売り・円買いの展開も
注目イベント:CPI(4/10)&FOMC(5/6–7)との連動
銀相場はインフレと金利に敏感なため、今後の指標発表は大きな意味を持ちます。
🇺🇸 4月10日:米CPI(3月分)発表
- 予想より高ければ→利下げ観測後退→ドル高・銀安
- 予想より低ければ→利下げ期待上昇→ドル安・銀高
🇺🇸 5月6日・7日:FOMC(第3回)
- 利下げ示唆 or ハト派姿勢強化→銀価格上昇→リスクオンでクロス円上昇
- タカ派継続→ドル買い・銀売り→ドル円上昇
まとめ:銀相場の動きは、ドル・円・リスク選好の“先行指標”
銀の価格は、金利・インフレ・需給・価格操作疑惑など、あらゆる市場の思惑を映し出す“鏡”のような存在です。
今回のCOTデータとXの声からは、
- 市場全体は強気だが、操作疑惑や過熱感には注意
- テクニカル的には攻防の節目にあり、上下どちらにも動きやすい
- 4月CPI・5月FOMCは、銀とドルの方向性を決定づけるイベント
という3つの重要な示唆が得られました。
FXトレーダーにとって、XAG/USDを見ることは「ドルと世界の資金の流れ」を読むこと。
銀の変動が、あなたの次のトレード戦略にきっと役立つはずです。