2025年3月第4週のCOT(Commitment of Traders)レポートから、銅(Copper)市場における投機筋・商業筋のポジションに大きな変化が見られました。
価格上昇が続く中、機関投資家はロングポジションを増やし、逆に供給者側はショートポジションを積み上げる──まさに「買い手 vs 売り手」の構図が鮮明になりつつあります。
この記事では、最新のCOTデータをもとに「今の銅価格は押し目買いのチャンスなのか、それとも利確のタイミングなのか?」という問いに対して、ポジション構造と価格推移を丁寧に読み解いていきます。
✅ 要点リスト(記事で扱う主なトピック)
- 投機筋はロングを積極的に増やし、ショートを縮小 → 強気姿勢が鮮明に
- 商業筋(供給者側)はショートを大幅に増加 → 上昇への備えと警戒を反映
- 銅価格は5ドル超え目前まで上昇中 → 上昇トレンドの中盤か終盤かが焦点
- 小口トレーダーは方向感に乏しく、まだ大勢が乗り切れていない
- チャート・ポジション比率・過去1年の推移を可視化して分析
- 今後の相場シナリオ別に、トレード戦略のヒントも提示
🟢 今週の注目ポイント:COTレポートで見る銅市場の勢力構図

この表は、米商品先物取引委員会(CFTC)が発表するCOTレポートの原文で、銅(Copper)市場の主要トレーダー区分ごとのポジション量を示しています。今回のレポートでは、投機筋のロング増加と商業筋のショート増加が特に目立ちました。
🔹 投機筋はロングを増やし、ショートを削減

投機筋(Non-Commercial)のロングポジションが優勢となっており、ショートとの開きが拡大しています。一方、商業筋(Commercial)はショート比率が大きく、需給構造上の対立が鮮明です。
2025年3月25日時点のCOTレポートによれば、投機筋(Non-Commercial)はロングポジションを前週比で+5,009枚増加させ、ショートポジションを-3,903枚削減しています。この結果、ネットポジションは+34,104枚と、前週比で約9,000枚もの増加となりました。
この動きは、銅価格の上昇(5ドル台乗せ)と並行しており、相場に対する強気スタンスが明確に強まっていることを示します。価格上昇に追随するロング増加は、トレンドフォロー型の機関投資家が本格参入し始めたサインとも読み取れます。
また、オープン・インタレスト(建玉総数)も約14,000枚増加しており、出来高ベースでも新規の資金流入が確認できます。これは単なるポジション入れ替えではなく、新たな買い勢力の流入が続いている相場環境であることを裏付けています。
🔹 商業筋はショートを増やし、供給者のヘッジ強化が鮮明に
商業筋(Commercial)のポジション動向を見ると、2025年3月25日時点でショートポジションが+9,384枚の大幅増加となり、合計105,345枚に達しています。一方で、ロングポジションは+2,406枚の小幅な増加にとどまり、ネットポジションは大きくマイナス圏を維持しています。
この構図は、供給サイド(=生産者や加工業者)が、価格上昇をリスクとして見ていることを如実に表しています。価格が5ドルを超える水準に達したことで、今後の価格下落リスクに備えたヘッジ売りが強化されている状況です。
つまり、商業筋=実需筋が本気で売り始めている局面であり、これは「相場が高値圏にある」と彼らが判断している証拠でもあります。
特に注目すべきは、商業筋のショート比率が市場全体のショートポジションの約6割を占めている点で、これは通常よりも強い警戒シグナルと見ることができます。
投機筋とは逆のポジション構成になっている今、相場は“攻める大口 vs 守る供給者”という構図に入り、トレンドの持続性と転換リスクの両方を意識すべき局面に突入したといえるでしょう。
🔹 小口トレーダーは動かず、まだ“熱狂”は来ていない
Non-Reportable(小口トレーダー)のポジションデータを見ると、2025年3月25日時点でのロングポジションは17,306枚、ショートポジションは16,880枚と、ポジション規模は極めて小さく、かつ拮抗状態となっています。
注目すべきは、この1週間で小口のポジションに大きな変動が見られなかった点です。価格が5ドルを超える局面にあっても、個人トレーダー層は依然として慎重姿勢を崩していない、または相場に乗り遅れていると考えられます。
この状況は、相場がまだ“個人投資家の熱狂フェーズ”には入っていないことを示しています。つまり、価格はすでに高値圏にあるものの、投資家心理全体では“バブル”のような過熱感はないというわけです。
こうした“静かな上昇”は、投機筋が先導し、個人が乗っていない=まだ相場に余白がある状態とも解釈できます。
ただし、逆に言えば急な値動き(下落)に対してリスクヘッジが弱い層が多いとも読み取れるため、ボラティリティが一気に拡大する可能性にも注意が必要です。
🟢 ポジションデータで振り返る銅相場の1年
🔹 価格推移と投機筋ポジションの連動性(チャート解説)

銅価格(ローソク足)が上昇する局面で、投機筋のネットロング(青線)が増加しており、相場が“投機主導”で上昇していることが明確に読み取れます。
過去1年間の銅価格は、2024年5月頃にピークをつけた後、夏にかけて調整局面に入りましたが、2025年2月以降は再び明確な上昇トレンドに回帰しています。特に3月に入ってからの上昇は急角度で、価格は節目の5ドル台を突破しました。
この上昇トレンドと投機筋(Non-Commercial)のポジション変化は明確に連動しています。
2024年夏から秋にかけては、ロングポジションの減少と価格下落が一致していましたが、2025年2月以降はロングポジションが再拡大し、それに伴って価格も反発・上昇基調を強めています。
つまり、現在の銅価格の上昇は「投機筋主導」であることがチャートからも読み取れます。これはCOTチャートの「価格 × ネットポジション」の同時表示を見ると、非常に明確に視覚化されます。
🔹 商業筋のショートポジションの変化が示す転換点の可能性
商業筋(Commercial)のポジションを見ると、価格が上昇するほどショートポジションが増加している構図が確認できます。これは、銅の供給サイド(生産者・精錬業者)が「この水準は高すぎる」と判断して、先物市場でヘッジ売りを強化していることを示唆しています。
過去1年間でも、価格が一定ラインを超えたタイミングで商業筋のショートが増える場面は何度か見られ、そうした局面の多くで短期的な価格調整や一時的な天井形成が起きています。
現在、商業筋のショートポジションは過去1年の中でも高水準にあるため、相場の過熱感を最も強く感じているのは供給サイドであると推測されます。
このような動きは、上昇トレンドの終盤に現れやすいシグナルでもあり、今後の転換点を意識したリスク管理が必要なフェーズといえるでしょう。
🔹 ロングとショートの比率から見る“買い優勢”構造

2025年に入り、投機筋のロングが急増。商業筋や小口は安定傾向にあり、大口投資家の強気姿勢が鮮明になっています。
ロングとショートの比率を見ると、投機筋のロングはショートの約1.5倍〜2倍程度となっており、強気バイアスのかかったポジション構成になっています。
一方、商業筋の構成はほぼ正反対で、ショートの方がロングより1.5倍以上多く、明確な売り構えが見られます。
非報告部門(小口)はポジション量が少なく、市場に大きな影響を与えているとは言えません。

商業筋によるショート積み増しが顕著で、価格上昇に対するヘッジ姿勢が強化されています。これは供給者側の警戒の強まりを示しています。
この構造を俯瞰すると、「買っているのは誰か? 売っているのは誰か?」が非常に明確です。
具体的には、買い優勢の主役は投機筋、売り圧力をかけているのは供給筋という対立構図です。
このようにポジションの構成比を見ることで、価格の裏側にある“市場の力学”を可視化することができ、それは価格だけでは判断しきれない「相場のステージ」を見極めるうえで非常に重要な手がかりとなります。
🟢 現在の相場は“どこにいるのか”?──上昇トレンドの中盤か?終盤か?
🔹 投機筋の動きから見る「強気相場」のフェーズ判定
2025年3月第4週時点で、COTレポート上の投機筋(Non-Commercial)は、ロングポジションを大きく増やし、ショートを明確に減らしているという構図になっています。このポジションの傾きは、「買いの初動」ではなく、「すでにある程度上昇が進んだ後に買いが本格化している」状態であることを意味します。
特に、投機筋のネットロングが前週比で+9,000枚近く増加している点は、価格上昇を追いかける形でポジションが拡大していることを示しています。これは「強気相場の中盤〜後半」に多く見られる特徴であり、新規参入というより、トレンドに乗る意図のポジション構築と考えるのが自然です。
🔹 商業筋の警戒が意味する「上昇余地」と「調整リスク」
一方で、商業筋(Commercial)のショートポジションは明確な増加傾向にあり、供給側から見て「価格が行きすぎている」と感じていることがうかがえます。
商業筋のショートは、価格が大きく上昇した局面で目立ちやすく、過去にも短期的な反落前に現れていたパターンが複数存在します。
そのため、現在の状況は「まだ上昇余地は残されているものの、利確の判断が必要な水準に差しかかっている」という、ややバランスの取りにくい局面と言えるでしょう。
今後、投機筋のロングが鈍化または利益確定に転じ、そこへ商業筋の売りが重なると、短期的な調整フェーズに移行する可能性もあるため、価格だけでなくポジション構造の変化を引き続き観察する必要があります。
🔹 小口が出遅れている=まだ乗れる可能性はある?
非報告部門(小口トレーダー)のポジションは、ロングとショートが拮抗しており、今の価格水準に対して明確な方向感を持っていない状態が続いています。
これは、「個人投資家層がまだ強気にも弱気にも傾いていない=熱狂が起きていない」という意味でもあります。
相場において、最終局面(バブルや天井)では、小口のロングが急増する傾向があるため、今の静かなポジション構成は“まだトレンドに乗れる余地が残っている”ことを示唆しているとも言えます。
ただし、“静かなトレンド=安全”ではなく、“動き出したら一気に崩れるリスク”も孕んでいる点には注意が必要です。
個人の熱狂が始まる前の段階だからこそ、今の水準での戦略判断(押し目買い or 利確)が求められるタイミングに来ているのです。
🟢 今後の相場シナリオと戦略ポイント
🔹 シナリオ①:投機筋がさらに買い増す → 上昇トレンド継続
このまま投機筋のロングポジションが増加を続ける場合、相場はさらなる上昇フェーズに突入する可能性があります。
特に、小口や実需筋(商業筋)がまだ本格的に「買い」に転じていない現在の構造では、買い圧力に対抗する売り手が限定的になる局面も想定されます。
このシナリオでは、今後「テクニカル的な節目のブレイク(例:5.30〜5.50ドル)」をきっかけに、新たなトレンド参加者(遅れて入ってくる小口やシステム系)が参入し、価格が一段高に向かう展開も視野に入ります。
この場合の戦略としては
- 押し目買いを狙う(ブレイクアウトを追いすぎず冷静に)
- ロング継続中であればポジション分割で利確管理
- 非報告部門のロング急増やニュース系材料による過熱サインには警戒
🔹 シナリオ②:商業筋の売りが勝る → 調整入りの兆し
一方、商業筋のショートが過去最高水準に近づいている現状から、「この価格帯は売られるべきだ」という供給側の強い意識がうかがえます。
過去にも、商業筋のショートが大きく積み上がった直後に短期的な反落や高値圏での揉み合い→失速というパターンが複数見られました。
この場合、現在の価格帯は“売り勢力が本格化する防衛ライン”となりやすく、急落やボラティリティ上昇のリスクが高まる局面に入る可能性があります。
戦略としては
- 既存ロングの一部利確、もしくはトレーリングストップで守る
- 新規エントリーは慎重に(短期リバーサルに備える)
- COTの次回データで、投機筋ロングの伸びが止まるかに注目
🔹 トレード戦略:押し目買い継続か、それとも利確か?
現在のCOT構造を踏まえると、「投機筋が主導する強気トレンドの中盤〜終盤」という認識が妥当です。
このため、戦略の基本は「押し目買い狙い」を継続しつつも、次の3つの条件を常に確認しながら立ち回ることが重要です。
✅ チェックすべき3つの条件:
- 投機筋ロングの伸びが継続しているか? → 続くならトレンド追従。鈍化すれば要警戒。
- 商業筋ショートがさらに積み上がっていないか? → 増加すれば上値重くなりやすく、調整の兆し。
- 小口のロングが急増していないか? → これが出ると“高値掴み→反落”の典型パターンになる恐れ。
🟢 結論:今の銅市場は、“誰が主導しているか”を見抜くフェーズ
🔹 データが示すのは「投機筋の本気買い」と「供給者の守り」
2025年3月第4週時点のCOTデータを総合的に見ると、現在の銅相場は“投機筋の本気買い”によって押し上げられている状態であることが明らかです。
一方で、商業筋はショートポジションを過去1年でも高水準にまで積み上げており、価格上昇に対して明確な警戒を示していることも同時に浮き彫りになりました。
この構図は、相場の上昇が「需給バランスの自然な結果」ではなく、市場参加者の“立場の違い”によって生まれたパワーバランスであることを物語っています。
つまり今は、「誰が相場を動かしているか」を見抜くことが、トレードでもリスク管理でも極めて重要なフェーズなのです。
🔹 相場の“体温”をCOTで読むことの重要性
テクニカル指標や価格のブレイクアウトだけでなく、COTデータから市場参加者のポジション構造を見ることで、相場の“体温”を計測することができます。
- 投機筋のロング増=市場がリスクを取っている状態
- 商業筋のショート増=市場が過熱しているサイン
- 小口がまだ静か=バブルではない可能性
このようにCOTは、「価格だけを見ていてはわからない“相場の裏側”」を読み解くための、非常に強力なツールです。
今回の分析でも、その有効性がよく現れています。
🔹 来週注目すべきCOT変化ポイントと外部要因
来週以降の相場では、次のような変化があるかを注視する必要があります。
- ✅ 投機筋のロングがさらに伸びるか、それとも鈍化・縮小に転じるか
- ✅ 商業筋ショートがピークアウトする兆しが見えるか
- ✅ 小口トレーダーのロング急増が出てきた場合は相場の過熱に要警戒
- ✅ 外部要因としては、トランプ政権の銅輸入関税の行方、中国の刺激策、米インフレ指標(PCE・CPI)なども重要材料に
✅ 総まとめ
今の銅市場は「買っているのは誰か? 売っているのは誰か?」を見極めることで、押し目買いか利確か──その判断の軸がはっきりする相場です。
📘 参考資料・出典
- COTチャート出典: Tradingster.com – COT Reports for Copper
※チャートはCFTC(米商品先物取引委員会)による公開データをもとに、Tradingster.comがグラフ化したものを使用しています。