FXのスイングトレードで勝てない最大の理由は、「明確なトレードルールがないこと」です。
「ルールを決めて取引しているのに勝てない」「ちゃんと守っているつもりだ」という人もいるかもしれません。ですが、それでもまず最初に見直すべきは、“自分のルールが本当に存在しているのか”、そして“そのルールが機能しているのか”という点です。
もう一つ、大切な前提があります。
FXでは、必ず取引相手が存在しているということです。
あなたがドルを買えば、必ずそのドルを売ってくれる相手がいます。FXは自販機で通貨を買うような仕組みではなく、常に他の誰かと“勝負”しているのです。
つまり、あなたが勝てないということは、取引相手との戦いに負け続けているとも言えるのです。
このイメージを、野球に置き換えてみましょう。
野球では、ルールを知っているだけでは勝てません。たとえルールを理解していても、プロ野球選手と対戦すれば、小学生ではまず打ち返せないでしょう。
FXも同じです。ルールを知っていても、相手が自分より上手ければ勝てません。つまり、「経験」や「練習量」に差があるのです。
🔍 FXスイングトレードで勝てない主な原因は、この2つ
- トレードルールが明確に定まっていない
- トレード技術・経験が未熟である(熟練度が低い)
このどちらか、あるいは両方に心当たりがあるなら、今の負けは“当然の結果”なのかもしれません。
この後のパートでは、「どうやってルールを作るのか?」「どうやって熟練度を高めていくのか?」について、具体的な方法をお伝えしていきます。
第1章|スイングトレードで勝てない人の共通点とは?
スイングトレードで勝てない人には、いくつかの共通点があります。
その中でも特に重要なのは、以下の4点です。
① 勝てるという“確信”がない
多くのトレーダーは、「この手法で本当に勝てるのか?」という不安を抱えたままトレードをしています。勝てる確信がなければ、冷静な判断はできません。
確信を持つためには、次のプロセスが必要です。
- 過去チャートで「勝てるパターン」を言語化する
- そのルールで過去50回以上、模擬トレードを行う
- 結果がプラスになったら、デモトレードでリアル相場に挑戦する
デモで安定した成果が出せるようになって初めて、資金を使った取引に進む段階です。これは「進んでもいい青信号」であり、「必ず進まなければならない」わけではありません。危険を感じたら、いつでもデモに戻すべきです。
この冷静な心構えを持っていない人は、勝ち続けるのは難しいでしょう。
下のグラフは、あまちゃん式1日3回チェック手法を用いて、過去チャートで模擬トレードを行った際の累計獲得PIPS数を記録したものです。

このように、ルール通りに取引を繰り返した結果が右肩上がりで増えていく様子を“視覚的に”確認できた瞬間、あなたの脳内には確信が生まれます。
「このルールなら、多少の負けがあっても最終的に資金は増える」
この確信があるからこそ、あなたはエントリーにも決済にも迷わなくなり、トレード中の感情に支配されなくなっていきます。
これこそが、本当の意味で“勝てる人間”が持っている確信なのです。
② 明確なルールがない
トレードルールが曖昧なままでは、勝てるはずがありません。
まず取り組むべきは、「過去チャートを使って、自分の勝てるパターンを見つけること」です。
チャートパターンを脳に焼きつける作業なしに、動き続けるリアル相場で対応するのは無謀です。
過去チャートを通して、
- どこでエントリーすれば良いのか?
- どこで決済すれば利益になるのか?
を徹底的に検証しましょう。パターン認識力はトレーダーの武器です。その武器を持たずに相場に挑めば、待っているのは「資金を失う未来」です。
③ ルールを守れない
ルールを守れない原因の多くは、「自分のルールに対する信頼の欠如」にあります。
たとえば──
- 利確ポイントに来ても「もっと伸びるかも」と幻想に惑わされる
- 損切りポイントに来ても「きっと戻るはず」と期待して切れない
- ナンピンでごまかそうとして資金を飛ばす
こうした行動は、ルールを守れない人が陥る典型パターンです。確信を持てるまで検証することが、ルールを守れるようになる唯一の道です。
④ リスクリワードのバランスが崩壊している
リスクリワード比(RR比)を理解せずに取引を続けている人は、相場の中で必ず行き詰まります。
なぜなら、RR比は「勝率が高くなくても資金が増えていく構造」をつくる唯一の仕組みだからです。
たとえば、ドル円の1時間足チャートでトレードする場合、値幅の平均が20pips程度だとわかっていれば、10pips利確・5pips損切のような設計が成り立ちます。この時点でリスクリワード比は「1:2」です。
この比率を意識して取引するだけで、たとえ勝率が5割を切っても、トータルで資金が増えるという現象を生み出せるのです。
逆にこの概念を知らずに「なんとなくで利確・損切」を繰り返している限り、いつか確実に退場します。
実際、多くのトレーダーがRR比を意識せず、「もっと利益を伸ばしたい」「損切りしたくない」といった欲望のままに行動しています。
でも本来、リスクリワード比は──
「取引をすればするほど資金が増えていく」という現象を、ルールによって具現化させるために欠かせない概念であり、相場を生き抜くための“武器”です。
この武器を持たずにトレードするのは、素手で戦場に立つのと同じです。
リスクリワード比は、トレードという“戦い”の中で、あなたの命を守り、利益を生み出す最も基本的かつ強力な装備なのです。
✅ まとめ
スイングトレードで勝てない人の共通点は、以下の4つです。
- 勝てる確信がない
- 明確なルールがない
- ルールを守れない
- リスクリワードのバランスが崩壊している
まずはこの4点を一つずつ見直し、「勝てない」の裏にある根本原因を解消することが大切です。
次の章では、「そもそもスイングトレードとは何か?」を改めて整理していきます。
第2章|そもそも「スイングトレード」とは何か?再確認しよう
スイングトレードとは、数日から数週間にわたってポジションを保有する中期トレード手法です。
スキャルピングやデイトレードと比べるとエントリー回数は少なく、そのぶん根拠のある取引戦略と精神的な安定が求められます。
ここでは、スイングトレードの特徴や求められる考え方をあらためて整理しておきましょう。
✅ スキャルピング・デイトレとの違いとは?
スイングトレードは、以下の点で他のトレードスタイルと異なります。
スタイル | 保有時間 | エントリー頻度 | 特徴 |
---|---|---|---|
スキャルピング | 数秒〜数分 | 非常に多い | 超短期の値幅を狙う。スプレッドや約定力の影響大。 |
デイトレード | 数分〜数時間 | 多め | 当日中に決済。指標発表の影響を受けやすい。 |
スイングトレード | 数日〜数週間 | 少ない | ポジションをオーバーナイトする。スワップポイントの影響あり。 |
スイングはポジション保有時間が長いため、スワップポイント(利息)の影響を受けやすい点も特徴です。特に高金利通貨を絡めたポジションでは、スワップの損益が無視できない規模になることもあります。
✅ スイングトレーダーに求められるマインドセット
スイングでは「待つ力」が試されます。
エントリーしてから決済まで数日以上かかるため、値動きを気にしすぎるとメンタルが崩壊します。
特に次のような視点は重要です。
- テクニカル分析に基づいて戦うなら、経済指標を気にしすぎない
→ イベントに過敏になると、テクニカルの優位性を信じきれなくなる
→ 実際、経済指標を後付けの理由として使い、テクニカル分析を“無力”に見せかけるような報道も少なくない(※個人の見解です) - 過去チャートで勝てる確信を持っていなければ、相場が気になって日常生活に支障が出る
→ 値動きが気になり、仕事や家事に集中できない
→ それがストレスになり、ルールを無視してしまう要因にも
だからこそ、事前の検証が重要です。
特に、「累計獲得PIPS数の推移グラフ」を作成しておくことで、ルール通りにやれば最終的に資金が増えるという感覚を視覚的に掴めるようになり、トレード中の不安が格段に減ります。
✅ スイングで狙う値幅の目安とは?
スイングでは、「どこで利確するか」を事前に想定しておくことが重要です。
そのための目安として、週足チャートに注目する方法があります。
- 直近1週間の高値と安値の差(値幅)を調べる
- その50%〜60%程度の範囲を狙うイメージで利確ポイントを設計する
- 値幅にばらつきがあると感じたら、過去5週〜10週分の平均値を出して参考にする
このようにして「相場がどれくらい動くのか?」の感覚を掴んでおくことで、無理な利確目標を設定せずに済み、リスクリワード比の設計にも現実味が出てきます。
📝 まとめ
スイングトレードは、エントリーの少なさから“楽そう”に見えるかもしれませんが、本質は“確信と忍耐の勝負”です。
- ポジションを保有する日数が長くなる
- 値動きを気にしすぎて生活に支障をきたすこともある
- 確信がなければ、相場に任せる覚悟が持てない
だからこそ、事前の検証と、相場を信じるだけの準備が何より重要なのです。
第3章|勝てない最大の理由①:トレードルールがない(または形だけ)
スイングトレードで勝てない原因の中でも、最も根本的で深刻なのが「トレードルールがない」、あるいは「形だけルールがある」状態です。
一見すると、「ちゃんと自分の中にルールがある」と思っている人でも、よくよく見てみると──
- 根拠が曖昧なままの“なんちゃってルール”
- 守れた時だけ「ルール通り」と都合よく解釈している
- そもそも過去検証すらしていない
というケースが非常に多いのです。
✅ あなたの“ルール”、本当に存在していますか?
トレードにおけるルールとは、感情を排除して淡々と判断できる基準です。
たとえば以下のような問いに「YES」と答えられるかを、自問してみてください。
- エントリーの条件を言語化していますか?
- 利確・損切の判断に再現性がありますか?
- そのルールで過去チャートを50回以上検証しましたか?
- その結果、累計PIPSは右肩上がりになりましたか?
この4つすべてに明確にYESと答えられないなら、あなたのルールは「存在しているようで存在していない」と言わざるを得ません。
✅ ルールのない取引は、“毎回ギャンブル”と同じ
ルールなき取引とは、目を閉じてコインを投げているようなものです。
一時的に勝てることはあっても、長期的には確実に負けます。
スイングトレードでは、ポジション保有時間が長いため、感情との戦いの時間も長くなります。
その中で「ルールがない」「あっても守れない」状態では、自信も根拠もないまま値動きに一喜一憂し、やがてルールそのものを放棄してしまいます。
✅ まずは“検証可能なルール”を作るところから始めよう
トレードで勝てるようになる第一歩は、「自分の勝ちパターン」を過去チャートから見つけ出し、それをルール化して再現性を持たせることです。
おすすめの手順は以下の通り。
- 過去チャートで勝てたトレード例を集める
- その共通点を言語化(例:9MAを上抜けしたらエントリー)
- 同じ条件で50回以上の模擬トレードを実施
- 結果をエクセルやスプレッドシートで記録
- 累計獲得PIPS数の推移グラフを作成して「優位性」を確認
このプロセスを経て、数字で勝てると証明されたルールこそが、あなたが相場で戦うための武器となります。
✅ 形だけのルールは“自己満足”にすぎない
たとえば──
「押し目買い」や「トレンドフォロー」といった言葉を口にする人は多いですが、それをどの時間足で、どんな条件で、どんな根拠で行うのか?が具体的に説明できない限り、それは“形だけ”のルールです。
抽象的な言葉では、再現性は担保できません。
再現性がなければ、検証できません。
検証できなければ、自信も確信も持てません。
✅ まとめ
ルールなき取引は、長期的に見れば「勝てるはずがない」ことは明白です。
まずは、過去チャートから自分の勝ちパターンを見つけ、それを数値とルールに落とし込む作業に真剣に向き合いましょう。
それが、あなたを“勝てないトレーダー”から卒業させる最初の一歩です。
第4章|勝てない最大の理由②:熟練度が不足している
FXは、18歳あるいは20歳以上であれば誰でも口座を開設でき、ネット環境さえあれば、今すぐにでも取引が始められます。
しかし──その“誰でもできる”という手軽さが、多くの初心者から容赦なく資金を巻き上げ、相場の世界から追い出しているのも事実です。
なぜなら、あなたが取引を開始したその瞬間から、あなたは“誰か”と戦っているからです。
✅ 相場の向こうには、あなたより熟練した“敵”がいる
FXは自販機ではありません。ボタンを押せば通貨が出てくるのではなく、あなたが買うときには、必ず誰かがあなたに通貨を売っているのです。
その「誰か」は──
- 何年も勝ち続けてきたプロ
- トレードを生業とする機関投資家
- 統計と心理戦を極めた熟練の個人トレーダー
そんな強者たちが、あなたの取引相手です。
つまり、あなたがFXで勝てない理由は、相手の方が狡猾で巧みだったからに他なりません。
✅ 勝てないのは「手法のせい」ではなく「熟練度の差」
多くの初心者は、負けが続くとこう考えます。
「この手法が悪かったのかも」
「もっと当たるインジケーターが必要だ」
「トレードする時間が悪かったかもしれない」
「海外の優秀なEAを探そう」
確かに、手法の相性や環境の問題もゼロではありません。
ですが──本質的な敗因はそこではなく、「自分がまだ未熟だった」という事実に向き合っていないことにあります。
✅ 熟練度は、“過去チャートの中でしか”磨けない
では、どうすれば熟練度を高められるのか?
それは1つしかありません。過去チャートを使った徹底的な検証と練習です。
あなたが「この条件なら勝てる」と信じるルールを作り、
そのルールで過去50回、100回と模擬トレードを繰り返す。
- どこでエントリーし、どこで決済すべきか?
- 逆行したとき、どう対処すべきか?
- 本当にこのパターンに優位性はあるのか?
こうした問いに、“感覚”ではなく“実績と再現性”で答えられるようになること。
それこそが、「熟練度が上がった状態」なのです。
✅ 負けを“取り返す”のではなく、勝てる自分を作る
もしも、あなたが「相場には自分よりも上手いやつらが山ほどいる」と素直に認めたなら──
おそらくあなたはこう考えるはずです。
「あいつらから金を取り返すには、練習あるのみだ」
そうです。その“取り返すための計画”こそが、検証であり、練習なのです。
チャートと向き合い、パターンを見抜き、再現性のあるルールを自分の中に構築していく。
これが、相場で生き残るためにあなたがやるべき唯一の努力です。
✅ まとめ
FXは、誰でも始められる世界です。
しかし、誰もが勝てる世界ではありません。
あなたが資金を減らすその裏で、誰かが資金を増やしています。
その「誰か」に勝つためには、手法ではなく、熟練度で差を埋めるしかない。
今日から、あなたがやるべきことはただひとつ。
過去チャートという“道場”で、自分を鍛えること。
それができた時、ようやくあなたは「勝てない側」から卒業できます。
第5章|スイングで勝てるようになった私が今も大切にしている習慣たち
スイングトレードで結果を出すために、特別な才能や複雑なテクニックは必要ない。
そう確信できるようになったのは、自分なりの習慣を身につけたからです。
ここで紹介するのは、私が「勝てない時期」を乗り越え、「ようやく手応えを感じ始めた今」も大切にしている、日々の取り組みや考え方です。
それはどれも、派手さはありません。
むしろ地味で、淡々としていて、だけど続ければ必ず自分の芯になります。
- 「負けを受け入れる」という心構え
- 「終値で決める」という判断基準
- 「複数の時間足で空気を読む」という観察習慣
- 「記録をグラフにして視覚で確信を持つ」という仕組み化
これらは、私が“感情”や“迷い”に飲まれず、ルールに従って生き残るために築いてきたものです。
他人の手法をなぞるだけでは辿り着けなかったこの境地を、
少しでも誰かの参考になるように──
次のセクションから、1つずつ丁寧に紹介していきます。
1.負けを受け入れる
「負けてもいい」と受け入れた瞬間、私のトレードは一気にシンプルになりました。
今では、8時間足チャートに9移動平均線(9MA)を1本だけ表示し、
- 9MAを下から上にクロスしたらロング
- 9MAを上から下にクロスしたらショート
という、小学生でも理解できるルールで淡々とトレードを行っています。
以前の私は、「負けを避けたい」という気持ちから、短期と中期の2本の移動平均線を使っていました。両方の条件を満たすときだけエントリーすることで、より“精度の高い取引”ができると信じていたのです。
でも、現実は違いました。
片方の条件を満たしていないのにTP(利確目標)に届く場面があったり、逆に完璧に条件を満たしているのに損切りになることもある。
条件を絞っても、勝てるわけではなかったのです。
ホールドの判断でも同じことが起きました。
短期の移動平均線は上昇を示しているのに、中期の移動平均線は下降を示している。
「中期の抵抗に当たったから手仕舞おう」と決済したら、そこから中期線を突き抜けてTPに到達。
次はホールドしてみたら、今度は中期線に跳ね返されて利確し損ねる──そんな“ちぐはぐな取引”に振り回されていました。
やがて私は、「そもそも正解は分からない」と認めることにしました。
そして、中期線を捨てて、短期の9MA一本にルールを絞り、「勝つときは負けの3倍の値幅を狙う」と決めたことで、驚くほどストレスの少ないトレードができるようになったのです。
さらに、このシンプルなルールで模擬トレードを繰り返し、累計獲得PIPS数をグラフ化してみたところ、右肩上がりのグラフができあがっていました。
その瞬間、私の中にあった「負けたくない」という思い込みが崩れました。
負けてもいい。
トータルで勝てていれば、それでいい。
この“全体像”に気づけたのは、グラフ表示をしたからこそです。
グラフがなければ、今でも1回1回の勝ち負けに一喜一憂し、負けを遠ざけようとしていたかもしれません。
実際、どのトレードが勝つかなんて、誰にもわからないのです。
だからこそ、SL(損切り)とTP(利確)を決めたら、あとは相場にすべてを任せる。
百発百中なんて不可能なのだから、相場に決めてもらって、それを受け入れるほうが、私にとってはずっと楽だったのです。
2.複数の時間足でチャートを見る
私は、8時間足チャートと9MA(9期間移動平均線)だけでエントリーと決済を判断しています。
ルール自体はとてもシンプルですが、実際のチャート観察では他の時間足も必ず確認するようにしています。
たとえば──
- 月足、週足、日足では、現在の価格がどの位置にあるのかをざっくり把握します。
→ いま相場が“余白”に向かって動いているのか、あるいは節目に差し掛かっているのか。
→ それを見ながら、どこまで伸びる余地があるのかを感覚的につかんでおきます。 - 一方で、1時間足、15分足、5分足では、リアルタイムの“相場の空気感”を感じ取ります。
→ 値動きの勢い、急変動の兆し、買いと売りの攻防など
→ ローソク足の変化を見ながら、「今どっちに行きたがっているのか?」をぼんやり感じる
ただし、これらの時間足を見たからといって、私のエントリー・決済の判断が変わることはありません。
ルールは8時間足×9MAで固定しています。あくまで、短い時間足の観察は、相場の呼吸を楽しむための行為なのです。
✅ 「騙し」を見抜ける視点
特に5分足を見ていると、とても興味深い現象に気づきます。
たとえば、「もうこれはダメだな」と思わせる動きの直後に、突如として息を吹き返すような反発が起きることがあります。
もしその瞬間にトレードをしていたら、おそらく私は“騙し”に引っかかっていたでしょう。
この経験から、私は次のように考えています。
短い時間足ほど、トレーダーの判断を誤った方向に誘導する性質があるのではないか。
複数の時間軸を見ていると、こうした“意図的な動き”のようなものが、不思議と見えてくることがあります。
それはまるで、多くの市場参加者の思惑が、ローソク足の中に折り重なって表現されているような感覚です。
つまり、時間軸を増やすというのは、「精度を上げる」ためというよりも、相場に対する感性を養うトレーニングでもあると私は思っています。
3.終値で全てを決める
私がトレードで特に重視しているのは「終値」です。
なぜなら、ローソク足という存在そのものが、相場の“結果”を示している唯一の確定情報だからです。
たとえば、チャート上でよく見かけるのが、9MA(移動平均線)を大きく割り込んだ“下ヒゲ”のローソク足。
一見すると「サポートされて反発した」ように見えるかもしれませんが、よく考えてみてください。
その下ヒゲが描かれたということは──
ローソク足が確定するまでのどこかの時間帯で、「移動平均線を大きく割り込む陰線」が実際に表示されていた時間が存在していたという事実を意味します。
つまり、チャート上に一時的に「売り圧力が極めて強かった」瞬間が可視化されていたということです。
✅ 終値以外は「相場が仕掛けてくる幻」
このような一時的な下落──いわゆる“下ヒゲ”や“上ヒゲ”は、
時にトレーダーの感情を揺さぶり、判断を狂わせる装置のようにすら感じます。
私はこう考えています。
「恐怖や不安を煽ってエントリーや損切を誘発し、その裏で利益を得ようとしている存在がいるのではないか?」
もちろん、これは私自身の経験に基づいた“直感”に過ぎず、証拠があるわけではありません。
でも、相場を見続けてきた中で、「誰かがわざと仕掛けてきた」と感じざるを得ない動きが、確かに存在していると感じるのです。
✅ だからこそ、終値だけを見る
このような“仕掛けのような動き”を排除してトレードを行うには、
どの時間軸であっても「終値で判断する」というルールに徹するしかないという結論に至りました。
私は現在、8時間足チャートの終値が9MAを上抜けたらロング、下抜けたらショートという明確なルールでエントリーしています。
また、ポジション保有中でも、終値が9MAを逆方向に抜けた場合はその時点で手仕舞いします。
途中のヒゲや含み損益の推移には振り回されません。
なぜなら、ローソク足の終値こそが「その時間足での市場の合意点」であり、
それ以外の動きは、すべてノイズ、あるいは“幻”のようなものだと考えているからです。
4.トレード記録を残す
私がトレード記録を残す最大の理由──それは、「自分のルールに確信を持つため」です。
以前の私は、どこかで自分のルールを完全には信じきれていませんでした。
だから、エントリー直後に逆行すれば怖くなってすぐ手仕舞いしたり、
含み益が減って建値付近まで戻ってくると、損切りの未来を想像してしまい、
「今のうちに利確しておこう」とルール無視で決済してしまう。
──そんな「感情で動くトレード」を繰り返していました。
自分で決めたルールを、自分で守れない。
そのたびに自己嫌悪に陥り、「相場が自分を拒絶しているのでは」と感じるほどでした。
✅ 確信を得るための、検証と記録
このままではいけない──そう思い、私は自分のルールを検証することにしました。
過去チャートを使って、エントリーポイントと決済ポイントを洗い出し、
模擬トレードの結果をPIPS数でスプレッドシートに記録していきました。
しばらく記録を続けた後、「このデータをグラフにしてみよう」と思い、
累計獲得PIPS数の折れ線グラフを作成してみたのです。
そして私は、強烈な衝撃を受けました。
✅ 「負けが多いのに、なぜか増えている」

グラフは、序盤こそ損失とゼロを行き来していましたが、
終盤になるにつれて勝ち負けを繰り返しながら、累計で900pipsまで伸びていたのです。
模擬トレードの勝率自体は低かったにもかかわらず、
リスクリワード比を「1:3」に設定していたため、
わずかな連勝で大きく利益が積み上がる仕組みになっていたのです。
私はそれまで、「勝ち負け」だけでルールを評価していました。
でもこのグラフを見た瞬間、「トータルで勝てる」ということが初めて実感として腑に落ちたのです。
この感覚は、記録とグラフ化をしなければ得られなかったものでした。
✅ 脳は「視覚」で理解し、数字で納得する
この体験から私は確信しました。
トレード記録とは、ルールに確信を持つために必要不可欠な作業だと。
だから私は今でも、
- 1トレードごとの損益をPIPSで記録し
- その累計をグラフで表示する
という2つの作業を必ず行っています。
この折れ線グラフがゼロよりも右肩上がりである限り、勝率が低くても問題ない。
それが、数字としての証拠になるからです。
そして何より重要なのは、
脳が「このルールは儲かる」と数字で理解した瞬間、ルールを守れるようになるということ。
それまでの私は、勝ち負けの感情に左右されていました。
でもグラフという「見える化された実績」を通して、
脳が、自分のルールが利益を生む構造だと理解したことで、感情よりも確率と損益で判断できるようになったのです。
✅ この仕組みは、誰にでも再現できると思う
これは私だけの話ではなく、おそらく多くの人にも再現可能な原理だと思っています。
感情で動いてしまう人ほど、「見える化」と「数字化」が救いになる。
トレード記録は、単なる記録ではありません。
それは、あなたの脳に「ルール通りにやれば勝てる」と納得させるためのトレーニングなのです。
第6章|初心者が取り入れやすい「シンプルなスイング戦略」の例
ここでは、私自身が日々実践し、実際に機能しているシンプルな戦略「あまちゃん式1日3回チェック手法」をご紹介します。
この戦略は、8時間足チャートと9期間移動平均線(9MA)だけを使う非常にシンプルなもので、初心者でも取り組みやすく、複雑なインジケーターやチャート分析の知識は必要ありません。
✅ 基本ルール
【ロング(買い)エントリー条件】
- ローソク足が9MAを下から上に突き抜ける
- 終値が9MAの上で確定することが条件
- 確定後、次のローソク足の始値でエントリー
【ショート(売り)エントリー条件】
- ローソク足が9MAを上から下に突き抜ける
- 終値が9MAの下で確定することが条件
- 確定後、次のローソク足の始値でエントリー
❗ポイント:「終値確定」で判断することで、“ダマシ”のリスクを大きく減らせます。ヒゲだけで判断せず、市場がその水準で合意したかどうかを見ることが大切です。
✅ 利確・損切(リスクリワード比の考え方)
エントリー後は、以下の2つの注文を入れるだけです。
- 利確(TP):エントリーポイントから +210pips
- 損切(SL):エントリーポイントから -70pips
リスクリワード比は 1:3。
勝率が50%を切っても、トータルで利益が残る設計になっています。
この2つの注文を入れたら、あとはチャートに張り付く必要はありません。
「見ない」「触らない」「信じて待つ」という姿勢が、この戦略の肝です。
✅ 手動での手仕舞いルール
ただし、TPにもSLにも届かず、ローソク足が逆方向に9MAを終値で突き抜けるような場面では、次の対応を行います。
- エントリーポジションを手動で決済(手仕舞い)
- 新しい方向(逆方向)で再エントリー
✅ これにより、相場の“転換”にも柔軟に対応できる仕組みになります。
✅ この戦略が初心者に向いている理由
- 判断基準が明確で、迷いが生まれにくい
- 事前にすべての条件と注文をセットできるため、感情に振り回されない
- 負けても、勝てるときに3倍取り返せる構造になっている
もちろん、どんな戦略でも「絶対に勝てる」は存在しません。
しかし、この手法は“期待値”というロジックに基づいて設計された、再現性のあるルールです。
検証と記録を通して、「数字で勝てる」ことを自分自身の目で確かめることができれば、
このシンプルな戦略が、あなたにとって心強い武器になるかもしれません。
第7章|勝てない時期の過ごし方──今がチャンスかもしれない理由
「FXで勝てない」
「何をやっても上手くいかない」
「このまま続けていて意味があるのだろうか…」
そう感じている時期こそ、実は最も成長のチャンスが眠っている時間かもしれません。
スイングトレードに限らず、トレードにおいて「勝てない時期」は誰にでもあります。
むしろ、“勝てない経験”を積み上げた先にしか、真の理解や確信は生まれません。
✅ 勝てない時期こそ、自分のルールと向き合える
勝てているとき、人はルールを疑いません。
でも、勝てないときほど、「自分のルールは本当に正しいのか?」と真剣に問い直すようになります。
- エントリー条件に曖昧さはないか?
- 感情でルールを無視していなかったか?
- その損切り、本当に想定内だったか?
こうした自問自答の積み重ねが、ルールを“感覚”から“構造”へと進化させるプロセスになります。
✅ 相場と向き合う「思考の習慣」が育つ
勝てないときにしか見えてこないものがあります。
それは、“どこで負けたか”ではなく、“なぜ負けたのか”という問い。
ここで思考を止めずに検証を続けた人は、少しずつチャートの見え方が変わってきます。
- ローソク足の形だけでなく「流れ」が見えてくる
- ダマシに見えた動きの裏にある「仕掛けの構造」を感じ取れるようになる
- 9MAとの位置関係に、トレンドの“息づかい”を感じられるようになる
この「視点の変化」は、勝ち方を真に理解した者にしか到達できない領域です。
✅ グラフで“全体像”を確認すると、冷静になれる
勝てない時期は、とにかく焦りが生まれやすい。
でも、そんなときこそ「累計獲得PIPS数のグラフ」を見返してみてください。
勝てていない数日間だけを切り取るとマイナスでも、
1か月、3か月とスパンを広げれば、右肩上がりで増えている全体像が見えることがあるのです。
この“俯瞰する視点”が持てると、
今の損失も「統計上、想定内の揺らぎ」として受け入れやすくなります。
✅ 勝てない時期のあなたが、「未来の勝ち組の核」を作っている
勝てない時期に、
- 記録を取っていた人
- 検証を続けていた人
- 感情を整える工夫をしていた人
このような人は、ある日ふと、“連勝が連勝を呼ぶ”ような滑らかな上昇カーブに乗ることがあります。
それは偶然ではありません。
負けを通じて、相場に“合わせる”感覚が研ぎ澄まされていった結果なのです。
✅ まとめ|勝てない時期は、あなたの“武器”を鍛える道場
勝てない時期をどう過ごすかで、未来のトレーダー人生は大きく変わります。
- 焦らずにルールを再確認する
- 感情に飲まれずに結果を数字で見る
- 相場の構造を理解する思考力を養う
- 勝てる未来を信じて、記録を取り続ける
この時期は苦しいかもしれません。
でも、勝ち組と呼ばれる人たちの多くが、かつて“この時期”を乗り越えてきたのです。
だからこそ、もし今あなたが勝てないと感じているなら──
それは、相場で勝てるようになる前兆なのかもしれません。
第8章|スイングで生き残るための心得(まとめ)
スイングトレードで“勝つ”とは、瞬間的な成功を意味しません。
それはむしろ、相場の中で「生き残り続ける力」を手に入れること。
生き残れば、チャンスはまた訪れます。
でも、退場してしまえば、その先に待つのは「やらなかった後悔」だけです。
ここまで紹介してきた習慣や考え方は、すべて「どうすればこの相場で生き残れるか?」という問いに向き合った結果、生まれたものです。
✅ 負けを受け入れる──“リスク”ではなく“必要経費”として
負けを拒絶している間は、トレードが苦しくなります。
でも、「これは期待値を積み上げるための一歩」だと理解したとき、負けは感情ではなく管理の対象になります。
✅ 終値で判断する──“幻”に騙されない唯一の方法
ヒゲや瞬間の値動きに振り回されると、トレードは不安定になります。
終値だけを判断軸にすることで、トレーダーを迷わせる“演出”から距離を取ることができるのです。
✅ 相場の呼吸を感じる──時間足をまたぐ視点の育て方
複数の時間足を眺めることで、相場のリズムや“違和感”を感じ取れるようになります。
それは「読む」ではなく「感じる」力であり、スイングにおいて非常に大切な感性です。
✅ 記録を残す──ルールを信じる“証拠”を自分の手で作る
トレード記録を数字とグラフで可視化すれば、脳はルールを「信じるべきもの」として扱い始めます。
確信は、検証と記録からしか生まれません。
✅ 勝てない時期は、あなたの武器を鍛えている期間
グラフが伸び悩み、心が折れそうになる時期こそ、本当の意味で「自分と向き合う時間」です。
それを抜けた先にしか、「自分の勝ち方」は見えてこない。
✅ 生き残る者だけが、勝ち続けられる
どんなに優れたルールでも、
どんなにシンプルな手法でも、
「途中でやめてしまった人」には、何も残りません。
トレードとは、自分の成長を“記録と検証”によって数値化し、その過程を味わうゲームです。
焦らなくていい。
今が苦しくても、あきらめなければ、あなたのグラフは必ず突き抜ける。
そのとき、あなたはもう「勝てない人」ではなく──
自分の力で生き残れるトレーダーになっているはずです。